「おはよう。」

「あ、詩ちゃんおはよ。」

「今日、この前いってた映画公開するってね!」

「そうそう、今度一緒にみに行けたらいいね♪」

こんな約束、すぐに忘れられちゃうことだけど、
少しでもさみしくならないように、

涙がこぼれちゃわないように、

意味のない無効の約束をするの。

「ふぅ…さみしいな…」

誰もいない渡り廊下で、誰にも聞こえないつぶやきをする。

「どうしてさみしいの?」

「………えっ。」

「お前いまさみしいっていってなかったか?」

「…………っ。」

「気のせいならいいんだけど。ちょっと気になっただけ。じゃな。」

「………。」

なにも言えなかった。



言葉が喉に引っかかって、出て来れなくて、苦しかった。









でも、君の残していった微かに香るレモンの香りが私のこころを落ち着かせた。