あの頃、私には嫌いな子がいた。

理由は、



修くんと仲良くするから。





すごくすごく、単純な理由だけど、あのことがあったからまた嫌いになっちゃったのかな。




誰もいない図書室。



修くんとの距離に悩みながら、私は一人、椅子に腰掛けていた。


ガラガラガラッ…

誰かが本を借りに来たのかな。
そんなことを思ってた。



「詩ちゃん。」

「え…?」

「これ、修くんが渡してきてって言ったからっ」

私が嫌いな子。真紀ちゃん。


なんで修くんからの手紙を持ってるの?



不安で不安で仕方なかったけど、
とりあえず手紙は受け取ることにした。



その子は付き添いで来ていた子と、
小さな声で笑いあいながら図書室を後にした。


「はぁ…。」

思わずため息が漏れ、
周りに誰もいないことを確認して手紙を開いた。


もう、好きじゃないから。



修くんからだとは信じがたい、
乱雑な字で、それは書かれてた。



突然のことすぎて、
不思議と涙が出なかった。



なんにも考えられなかったよ。



今まで君でいっぱいだった心が崩れていくようでとてもとても怖かったんだよ。


苦しかったんだよ。


あの子が持ってきたこの手紙。


君が託したこの手紙。



ねぇ、君はどんな気持ちでこの手紙を綴りましたか?



それはいまでもずっと忘れられない大雪の日のことでした。