「……」

別れ際、北川が言ったことを思い出す。

『月曜日は、一緒に学校行こうね!』

言い逃げってありかよ。

「くそっ……」

どうすりゃいい。









どうもこうもない。

俺は断じて信じたりはしないが、もし、もし運命なんてもんがあるならば。

……この時くらいから、その歯車は回り始めていたんだ。

「今度はケーキ屋さんの隣に、ファミリーレストランができるんだって。ケーキ屋さんも大変だよね、ファミレスにお客さんとられちゃうって、焦ってるみたい」

「ああ……」

結局俺は北川と学校へ行っている。

日曜のうちに俺がたどり着いた結論はこうだ。

岸田と一緒に行かせればいい。

うむ、我ながらよく考えたよな。今日、放課後にでも二人集めて言おうと思っている。

「そういやお前」

「?」

「もうすぐ期末だぞ。勉強してんのか」

「う……。なんで今の話の流れで、テストの話になるのかなぁ」

北川は、本当に嫌そうな顔をした。

そしてそれを、俺のせいだと言わんばかりにこちらへ向けてくる。

「……テストが憂鬱なら、テストを楽しめるように努力しやがれ」

意味わかんなーい、と頭から角を生やす北川はここらで無視。

だが学校に着く頃には笑顔になっている北川を見て、無意識に頬がゆるんだ。

「……先生が笑った」

「俺は人間じゃないとでも思ってたのか?」

「そ、そんなことないよ! 先生だって人間だから、笑うくらいするよねー」

「本当にそう思ってんのか?」

「思ってるよっ」

俺はその時、一緒に登校はヤバイとかそういう事が、ひどくどうでもいいことのように思えたんだ。

……とにかくそん時は、楽しかったから。