君がくれた空

あれから、僕とひなたは頻繁に会うようになった。
お互いよく話が合ったし、一緒にいて飽きることもなかった。
学校に行かなくなって以来感じたことのなかった充実感や幸せが、ここにはあった。
生きていて、良かった。
生きる意味がわからなくなったあの時に、死んでしまわなくて本当に良かった。
そう思う。
ひなたは、僕の希望だった。

「楓?どうしたの?」

ひなたが僕の顔をのぞきこむ。
きょとんとした表情が可愛い。

「何でもないよ。」

「本当?何か考え事してなかった?」

ひなたは不安げに聞く。
話していてわかった、彼女はかなりの心配性で、独占欲も強い。
きっとひなたも、独りだったのだろう。
その気持ちは痛いほどわかるから、不快には全く思わない。

「ひなたといて幸せだなぁって、思ってたんだよ。」

頭を撫でながら言うと、やっとひなたはほっとしたように笑った。

「楓、ずぅっと、私と一緒にいてくれる?」

「もちろん。」

はたから見れば、愛の告白のようなその言葉。
けれど僕らにとっては、お互いを繋ぎ止めるための大切な大切な約束。

今まで一人で座っていたベンチには、二人並んで座るようになった。
今まで独りだった時間が、二人になった。

この幸せが壊れることに怯えながら、心の暗いところから滲み出る不安を見ないようにしながら、僕らは、ただ、笑う。