ここは、体育館の裏。



誰も来ない。



だから気づかない。



そう、誰も。



「ねぇ。朱音ちゃん。ちょっとさ、お金
 貸してくんない?」



お金?持ってないよ。



「ねぇ。聞いてんの?」



「持ってないです。」



小さな声で言った。



「はぁ?ふざけてんの?」



あっ。殴られる。


助けて、誰か、お願い。


でも、誰も来ないんだ。