体育館に熱気が籠る。
床とシューズが擦れる音
ボールの叩く音が響く。
頬を伝わる汗、
手に伝わるボールの感覚、
高い所から見る相手コート、
俺の好きな物だらけ。

『おい、日向ボゲェ!バカ!
タイミング遅ぇよ‼︎』

『うっ、うるせぇな!影山!
もう1本だ!もう1本‼︎‼︎』

ライバルだった影山が味方になって
俺たちは阿吽の呼吸で攻撃が
出来るように居残り練習中だ。

『ちゃんとボール見ろ‼︎‼︎おい‼︎』

上手く打ち切らない俺に
影山が怒鳴る。

『次はちゃんと打つ‼︎
…からもう1本だ!』
流れる汗を拭って影山に叫ぶ。

『もう遅いから、最後だからな!
ちゃんと決めろよ‼︎ボゲ日向‼︎』
そう言って正確な位置に
影山がトスをあげる。

『(今だっ!)』
タイミングよく手を振り下ろす。

バチーンっ!

『っしゃぁ!影山!今のよかったよな?
な?な?』
最後の1本は俺的には
バッチリ決まった。
影山のもとへと近づく。

『あぁ、今の感じだ。
忘れんなよ。バカ日向』

影山が時計をチラリと見て
片付けるぞ、とつぶやく。
広い体育館を影山と2人で
片付ける。

モップも掛け終わり
汗だくの練習着から着替えて
体育館の鍵を閉める。

『腹減った!影山肉まん食って
帰ろうぜ!』

影山の隣を歩きながら尋ねる。

『おぉ、腹減ったな。』

無愛想だけど影山から
返事が来る。
駐輪場2人で向かい無言で
足をすすめる。

影山何考えてんだろ?