嫌味を言われたことは解ってる。 でも、ソイツの顔を見た瞬間苛立ちなんて吹っ飛んで、私の瞳孔が確かに開いた。 顔を見たのは一瞬。 なのに、瞳に焼け付くくらい端正で整った顔立ち…。 おまけにサラサラの黒髪が彼の肌の白さを引き立てている。 長い脚、高い身長、綺麗な瞳、色気を含んだ唇。 なにもかもが 私を動かした。 私は立ち尽くした。 まるで、時間が止まったように。 もう後ろ姿になり、どんどん小さくなっていく彼を見つめながら立ち尽くした。