そこへまたまた、インターフォン。
「今度は、何だ?」
将が、ため息をついた。
「シナモントーストだったら、いいなー。私、ここのカフェの、好きなのよ。」
べべが笑顔でそう言った。
「いや、べべ…ケーキ3個食べたし…。」
クッキーも沢山食べてたよね?
「レイ、ここのシナモントーストは別腹よ!」
大真面目に私に訴える、べべ。
いや、炭水化物満載で、決して別腹ではない。
「…べべ、今度血液検査しようか。鎌倉まで来れないなら、T大でもいいし。」
心配になって、そう言うと。
何て言ったって、シナモントーストは食べるわよ!とべべがムキになった。
そうか、血液検査嫌なんだな。
「…てゆうか、インターフォン鳴っただけで、シナモントーストって決めつけるなよ…。」
将が、疲れたような声で呟いた。
木村さんが吹き出し、そのままドアにむかった。
私もベベも会話の不毛さに気がつきおかしくなって、吹き出した。
だけど。
そこへ現れた、アランの存在に部屋の空気が一変した。
いや、部屋の空気っていうより、将の空気だけども。
「アラン、どうやってここへ?このフロアはプレス規制があるはずよ?」
一番に気になった事を問う。
「ああ、どうしてもレイと話がしたくてね?ある人が、ここのフロアに入るカード貸してくれたんだ。」
そういうことか。
だけど、ある人が…って、匿名にしたって、わかるよ。
「ウィリス、か…。」
将が、眉間にシワを寄せた。
アランがクスリ、と笑う。
「ねぇ、レイ、このイケメンだあれ!?元カレ?」
べべが屈託なく聞いてくるけど。
ちょっと空気読もうよ!
「べべ…。」
将の眉間のシワが確実に深まったのを見て、べべを横目で見る。
「いいじゃない!シナモントーストと期待してたのに、期待外れだったんだもん。面白い話聞きたいじゃない?」
私は、シナモントースト…炭水化物の代わりかっ!?
はあ。
私が思わずこめかみをおさえると。
アランが満面の笑みで、爆弾を落とした。
「俺は、レイの初めての男ですよ。」

