「オサムの事は、付き合った時点で、初めて好きな人ができた、って伝えた。そしたら、フランスから会いに来て…。」
そこまで言うと、レイが眉を寄せた。
「で?」
「うん…何か、オサムと会った瞬間、自分の敵じゃない、って。きっと別れるから、そしたら自分のところへおいで、って。まあ、確かに、別れたけど。」
何か、理解できるようで、理解できない…アランの言動が。
だって、レイが本当に好きなら、ずっと自分のものにしたいだろ、普通。
なのに…。
俺の言いたいことがわかったようで、レイが困った顔をした。
「アランが、強い態度に出ないのは、理由があるんだ。」
「理由?」
「うん…アランの…あ、アランはじつは、双子でね。お姉さんがいるんだ。」
「へえ、じゃあお姉さんとも同級生?」
「いや…。お姉さんは小学校の時に事故にあって、ずっと植物状態で。」
そういうことか。
「お姉さん、第一に考えていて、なかなかレイに時間が取れないってことか。」
「うん、随分仲のいい姉弟で。だけど、そんな事は関係ないのに。私が本当に恋愛感情でアランが好きだったら、時間が取れるとか取れないとか関係なしにアランのそばにいるし。でも、アランに対して友情しかかんじなかったから、こういう結果になったのに。」
レイがため息をついた。
「それ、今回はっきりアランに伝えるべきだ。俺もつきそうから。」
俺がそう言うと、レイは嬉しそうな顔で頷いた。
「将、アランの事…わかってくれた?」
「ああ。結局、レイが俺の事どれだけ好きかわかったし。ま、今のお互いが大事で好きなんだってわかったし。な?」
そういいながら、レイの顔をのぞき込むと案の定、赤い顔をして、照れた。
ぶ。
だから、これがツボなのに。
クスリと笑うと、俺はレイの耳にキスをした。
そして。
「おかわり、シテいい?」
と、甘く囁いた。

