今日は、突然の衝動で、避妊ができなかった。
レイも何も言わなかったし。
きつくレイを抱き締める。
もう、愛しいって言葉しか思いつかない。
こうやって、レイに触れているだけで、満たされる思い。
「…結局、こういう事なんだよね。」
レイを抱き締めて、幸せにひたっていたら、レイがボソリと呟いた。
「え?」
「感じるか、感じないか…。」
「…そりゃ、高校生なら、そんなにテクとかは、まだ…。」
「いや、そういうことじゃなくて。触れられてもドキドキっていうか、心が感じないってこと。体の方の快感は、そりゃ刺激されればあるけど…つまり、将にはあの腕を掴まれた時に、そういう事で…感じたの。」
成る程、レイの言いたいことがわかった。
「つまり、恋愛対象として見れるかどうかは、相手に触れて、ドキドキするかどうかって事か…確かにそれってあるよな。しかも、そこ重要だよな?」
納得して答えると、レイが頷いて、俺の胸に顔をこすりつけた。
ふ、じゃあレイ…俺で感じてくれているんだ…まあ、当たり前だけどな。
「アランにはそれがなかったの。私を抱いた後、アランが幸せそうに私を抱き締めて離さないと、面倒になって…。で、気がついたの。アランには友情しか感じていないって。で、無理だって、思った。」
何か、アランに同情する。
つくづく、俺の事、恋愛対象として見てくれてよかった…。
「で、その上。日本が嫌だったら、フランスに留学すればいいって…。なんか、逃げる事しか、私にはないみたいで。確かに、日本から逃げてきたんだけど。だけど、冷静に考えて、逃げていてもダメだ。自分で人生を考えないと、って思うようになって…。」
「そうだな、大切な事から目をそらしても、何も前に進めない。」
俺がそう同意すると、レイの腕がぎゅっ、と俺の背中を抱き締めた。
「将の、そういうところが好き。意地っぱりの私に、逃げるなって言ってくれて。結局、お父さんと和解させてくれた。」
結局、レイはアランにやっぱり、友達としか見れない、と伝えたらしい。
でも、アランは。
「今はまだ友達って思っていてもいい。だけど、俺は諦めない。レイがこれから、いくつか恋愛をしても、最後にもどるのは、俺のところだ。」
そう宣言したらしい。
…何を根拠に…。

