そういえば。
ふと、気づいてしまった。
「ねえ、将。」
「ん?」
インタビューの最中なのに、私の呼び掛けに優しく甘く応える将。
話し掛けた私が悪いんだけど、なんか将、キャラ崩壊しつつあるよね。
いや、そんなことよりも。
「私、将の今回のノミネート作品見てない。」
いや、『ムーンライト』の舞台以外作品は見ていないんだけどもさ。
「ああ。そうだったね。じゃあ、このあと見に行こうか?」
将が、甘い笑顔を私に向ける。
「いいの?だって、宣伝は?」
「公開している会場にいくのも宣伝だよ。木村さんにも、1回覗けっていわれてたし。」
そっか。
「どうしたの?」
私と将が、いきなり日本語でこそこそ話しだしたので、オッサンが聞いてきた。
って、インタビュー中だから。
プレス関係者も全員こっち見てるし。
「いや、このあと将が出ている作品を私がまだみていないから、行こうかという話です。ごめんなさい、インタビュー中に。」
私が非礼を詫びると、意外にもオッサンも一緒に行くと言う。
「え?」
将がも驚いて聞き返した。
いや、私が聞き返したんだけど、厳密には。
将の演技を是非みたい、といい結局は、オッサンも一緒に見ることになった。
いいんだけど。
ウィリスは、面白くないだろうな。
こういうのって。
何か、ないといいけど。
私は、将の作品が上映している会場へむかいながら、ふとそんなことを思った。
将の映画はラブストーリがメインの感動的なものだった。
やっぱり、将にはウィリスがやった役よりもこういう役のほうがいい、と私は思う。
「どうだった?」
将が私に聞いてきた。
だから、正直に答える。
「よかったけど。」
「けど?」
「……もう、見たくない。」
「ええっ!?なんでっ?」
将が、私の肩をつかんだ。
言いたくないので、フイと顔を背ける。
「レイッ?」
結局、オッサンについてプレス関係者もゾロゾロきてるのに、うるさいよ。
無言を通していたら。
「将、やっぱりレイちゃんでも、キスシーン、ベッドシーンは拒否反応があるだろ。」
うるさいよ、木村!
ジレのスタッフと連れだって、私達と合流すべくやってきた木村さん。
フランス語はダメだけど、英語は堪能で、ジレのスタッフと英語で会話し、仲良くなったようだ。

