本当に、木村さんが言った通り、将の映画に随分の審査員が入場したと連絡が入った。
何が功をなすのかわからないな、と実感した。
なんだかんだとインタビューやら、木村さんからの細かい連絡やらで時間があっという間にたち、気がつくと昼をとっくに過ぎていた。
「レイ、昼随分すぎてたな。さすがに腹減ったし、何か食べに行こう。」
そう言って、将が私の手を引き歩き出した。
私もお腹がペコペコで、意義はなかったのだけれど。
「木村さんを誘わなくていいの?」
そう聞くと。
「木村さん、もうムッシュージレのスタッフたちと食べてきたんだって。ちゃっかりしてるよな?」
将が少しあきれた顔でそう言った。
会場内には、レストランや、カフェテリアなど何軒もの店があって、そこで自由食べることができる。
私たちはそこへ向かった。
とにかく私は、ヤニ切れとカフェイン切れでイライラしていたので、タバコの吸えるカフェテリアに入った。
将が私の手を引いて、店に入って行く。
何だかその後ろすがただけでも、とても愛おしくて。
本当にこの人と結婚してよかったと、ふいに思った。
そんな甘いことを考えていたら。
急に将が、立ち止まった。
どうしたの?と聞きながら将の顔を見れば。
少し強張っている。
その原因は、どうやら。
将と、向かい合っている、この男の人に原因があるようで…。
だって、2人睨みあってるし。
知り合いかな?