「ワシはS会社を経営しとる根本や! 乙姫を呼んでくれ!」 男はそう言いながら、震えた手で名刺を圭吾に渡す。 「根本様ですね、少々お待ちください。 祐司くん、お客様を別室にご案内してお茶を出してくれますか?」 「はい」 「興奮状態だから、落ち着かせてね」 コソッと祐司に耳打ちした後、圭吾は「失礼」と言い、社長に連絡を取り出した。 祐司は根本社長を別室へ案内する。 根本社長の顔からは大量の汗が滲んでいた。