「今日もお熱いことで!!」

メグの居なくなった席に本来の持ち主が帰ってくる。

「違うっていってるでしょ、あかり」

「えー?」

あかりはいたずらっぽく笑う。

「メグとは付き合ってない。そーゆーんじゃないの」

チョコレートをもぐもぐと咀嚼しながら言う。

「あんなに逢坂くんに大事にされてるのに?」

「メグはやさしいひとだから」

「違うよ!!ハルのこと好きだからだよっ!!」

あかりは信じられないものでも見るような視線を向ける。

「あかり、しつこいー!!一限化学だけど準備はいーの?」

私がそういうとあかりは『あっ!!』と顔を真っ青にして教科書を借りに行った。昨日【教科書無くしたー・°°・(>_<)・°°・。】ってメールが来てたんだよね。こんなところで役にたつとは、起きてて良かった……。




あかりに言ったとおり、私とメグは付き合っていない。一緒に居ることが多いから誤解されたりするけど、お互いいい友達として隣に居る。


始めて会ったのは高校1年の夏。うちの部活の遅れてきた新入部員がメグだった。
金髪に近い髪、色とりどりのピアス。私より20cm以上高い身長。無邪気に笑った顔。それはどれもこれも私には新鮮だった。


それまで1年生は自分だけって状況を謳歌していたから、初めはメグの入部を歓迎していなかった。
でも、彼の人柄とか雰囲気は私にあっていたみたいで。夏休みが終わる頃には、今朝みたいにメグは私に毎日野菜ジュースを買ってきてくれるようになっていた。


メグと居るようになってからずっと考えてることがある。
どうしてみんな男女で一緒にいる=付き合っていることになるんだろう?
友情がそこに存在してはいけないのだろうか?
あかりは『男女の友情なんてありえないよ!!』って言う。
けどメグは『男か女かなんて染色体一本分しか違いはないのに』って私の言葉を、笑顔で受け入れてくれれた。『俺もそう思う』って。
だから私とメグの間に確かに友情は存在している、と思ってる。
でもそれはおかしいことなのかな?
メグと居ることが当たり前になって。
二人でいればこんなこと考えたりなんてしないのに。
一人になるとたまーに、この答えの見えない疑問に脳みそが支配される。

先生とあかりが同時に教室に入ってきたのをみて、最後のチョコレートを口に放り込んだ。