「またチョコレート食ってんのかよ」

「好きなんだからいいじゃん」

「偏食ー」

「別に偏食で困ってないもん」

「お前ねー……」

朝のHRが終わって始業までの10分間。
教室で朝ごはんががわりのチョコレートを食べるのが、私の日課。
そして前の席に腰掛けているメグに、『偏食』って言われるのもいつものこと。

「で、今日は何チョコ?」

「LOOK。あ、バナナ要らないからあげるね」

「おい……。つーか、また朝飯それだけ?」

「んー」

「馬鹿。そんなんだから倒れんだよ、お前」

「もう平気ですー」

「あ、そ」

呆れた顔でそう言って、メグは私に野菜ジュースのパックを投げつける。

「ちゃんと、飲めよ?」

「はーい」

私のほぼチョコレートしか食べないという食生活を見かねたメグは、毎朝こうやって野菜ジュースを買ってきてくれる。

「あ、じゃあお返しにチョコあげるよー。バナナだけど」

「お前が好きじゃないだけじゃん」

「いいから食べなってば!!私がチョコあげるなんて貴重だよー」

「はいはい、じゃあ俺教室戻るなー」

「んー。また、部活でね」

メグはひらひらと手を振って教室から出て行った。