パパは屋根裏部屋で二人を待っていた。


「二十歳の誕生日と……、結婚おめでとう。これからも娘の支えになってあげてくれ」

パパはそう言いながら泣いていた。


でも私は別のことを考えていた。


「パパ……ガラスの小箱なんたけど」

だから一番気掛かりなことを聞いていた。


「大丈夫。パパはあのガラスの小箱の中にキャプテンバッドを閉じ込めておいたたから」
パパはウインクをした。


エイミー姉さんのガラスの小箱は合わせ鏡と合わさって……


キャプテンバッドが二度と出られないようにしてきたらしい。


パパはその後魔法の鏡に掛けてあった覆いを外しを抜け出したのだ。

魔法の鏡を抜け出す時、足かせは自然に外れていたとのことだった。


パパはその後で港に戻り、あの幽霊船に魔法の鏡を戻してきたようだった。


もう二度と、あのキャプテンバッドに振り回されないように……


(って言うことは? 合わせ鏡はチビの傍にない? もうチビが冒険に出ることはない?) 

私は彼と離れて過ごした十年間を思った。

チビには同じ想いをさせたくなかったのだ。




 私は雅に感謝してもう一度携帯を開いた。


(あれっ!? 何で携帯が通じたの?)

私はそっと携帯を開けた。
着信遍歴を確かめてみる。


(雅……やっぱり)


それは紛れも無く、あの時かかってきた電話だった。

メールだけではなかったのだ。

それはきっと私がキャプテンバットの骸骨と対峙していた時の。


(ありがとう雅、チビ)


私は現実に戻してくれた友達に感謝した。

改めて、素晴らしい友人を持ったことに感動していた。


(えっ!?)

でも、保存しておいた写真を見て息を詰まらせた。

其処に映し出されたのは、大砲の弾薬だった。

でもその一つが、あのキャプテンバットの骸骨に見えたからだったのだ。

私は慌てて画像を削除した。


(あっ!? 証拠写真を消しちゃった)


でも……
それでいいと思った。

あのキャプテンバットのことだ。
何時復活するか解らない。
もし輪の貞子のように……


(もし、この携帯のディスプレイから這い出してきたら……)

そう思っただけで身震いがした。


(でも本当に削除出来たの? もしかして、あの画像は何処かを飛び回っているだけなのかも?)

ふとそう思った。