(私なんて情けないことを。なんて無責任なを)

皆のために戦おうと誓いを立てたばかりなのに……


(何遣ってるの? 何で逃げ出したの?) 

私は自分自身に腹を立てていた。


もう一度パワーを貰おうとチビを見た。


操舵室では三人で戦っていた。


現実と異空間。
その間で家族三人?
肩を寄せ合って取り囲まれた骸骨と向かい合う。


(えっ!? 三人?)

其処に居たのは、フェンシング会場にいた人物……

雅のお兄さんだった。


その格好良さが、再び恋心を目覚めさせていた。


(何故今まで忘れていたのだろう? 大切な仲間だったのに……)

彼と私はパパの弟子だったのだ。




 そして私は覚悟を決め、腕を伸ばしてサーベルを高く掲げた。


(この光景……そうだ、あの日鏡の中で確かに見た……チビが見た……チビだった私が見たものは……)

十年前に確かに私は見たのだ。


(そうだやっと思い出した! 私の正体……を)

それは伝説の聖女の姿だった。




 チビが目を丸くした。

雅のお兄さんも驚きを隠せないようだった。


(間違いない!)

私は更に剣を高く掲げた。


その時私は満月の光に照らされた甲板に、剣を高く掲げた自分のオーラを見た。


(違う! オーラじゃない! 守護神だ!)


その時私は理解した。
その守護神こそ、本当の姉なんだと。


(エイミー姉さんこそが伝説の聖女の生まれ変わりだったんだ! そうか……だから殺されたんだ! 今此処にいる邪悪な生き物に……だから私も狙われたのか?)




 母のせいではない。

父のせいでもない。

全ては姉を闇に葬り去ろうとした邪悪なものの仕業なのだろう。


その時私は見た。
チビのポニーテールのリボンを……


(あれっ!? 確か私の髪に結んだ筈?)


私は慌てて自分のポニーテールを手を持って行った。


私は自分の手でリボンを確認した。


(そうか!? きっとこれはエイミー姉さんのリボン! ありがとうエイミー姉さん! 私負けない! 彼と共に戻るのためにも……)


私はもう一度サーベルを高く突き上げた。


あのガラスケースの中にあった、チビとお揃いのリボン。
それが今……
私のポニーテールと一緒に揺れていた。