第一章~記憶をなくして……~


目を開けると真っ白な天井。

なにが起こったのかわからなかった。


「奈保……よかった……。」
お母さんが泣いてる。

「奈保!」
お父さんも病室に入ってきた。


私はなんでここにいるんだろう。全く状況がわからない。


40後半の医者が入ってきた。
私を軽く診察して「痛いところはない?」と聞いた。

「はい。」
思っていたよりもかすれた声が出た。

「君は事故にあって3日間意識を取り戻さなかったんだよ。」


そうだったんだ。

お母さんとお父さんが私を抱き締める。

「本当によかった。」

お父さんが泣くところなんか初めて見たな。