「はぁ…」
「どうしたんだよ、春樹」
「今回の魂が少し厄介なんだ」
「あー、面倒くさいなぁ」

死神である俺は、来る日も来る日も
魂の回収に追われている。
俺の担当は人間の魂で、赤子から老人の魂を天国に運ぶ。

同僚の博樹(ひろき)とは幼馴染

「そういえば知ってたか?
水無先輩、死神やめたらしいぜ」
「なんで?」
「恋、だってよ
人間に。」
「……」

たまに、死神をやめるやつがいる。
連れて行くはずの人間に情が湧いたり、
恋をしたりして魂が回収出来なくなったという理由だ。

「転生…か」
「ああ、何になれるか分からねーのに」

死神を辞めた者は、現世へ転生する。
天国へ行った人間も転生を繰り返す。

「で?」
「また仕事が増えたから、
それは俺に回してコレやれってさ。」
「はぁ…」

俺は博樹が持ってきた1枚の資料を見た。
「中原 夏目…16歳か」