こんな辛い思いするぐらいなら
早く諦めたい。

そんな事を思いながら歩いていると、益々足が痛くなる。
職員室まで頑張って運んだものの、痛すぎてひょこひょこ歩きになっていた。



「ペンギンかよ…もおいい、乗れ」





少し苦笑いした後に 大きな背中を私の方に向けてしゃがみ込んだ。
昔は私の方が大きかったのにな…。

そんな事を思って乗ったそのおんぶは、背中がすごく熱くて緊張した。




少し汗ばんだ感じの匂いに香水の匂い。
香水をつけたって変わらないあの琢磨の匂い…



って、私おじさんかよ。



保健室につくなり、先生が今2年生の沖縄修学旅行に出掛けていて居なかった。

琢磨はいつものように面倒臭そうにシップをとって私の足に貼った。



大きな手ですごくゴツゴツしている男の人の手…
こんなに近くで見たのは、久しぶり。

相変わらずパッチリとした大きな二重目に、筋の通った高い鼻。


こりゃ女子達も騒がずにはいられないよね。






「琢磨ごめんね。こんなことさせちゃって」

こー言う会話もいつ振りだろう
胸が高まる。




「本当、困ったもんだわ」



そしてチャイムが鳴った。
なのに移動を始めない琢磨。


私のシップが貼ってある足を軽く持ったまま、その手をどけようとしない。




私足臭かったらどうしよう…いや、それよりなんでどけないのかな?

「えーと…琢磨?」




「んぉ?…あ、わりーわりー。ちょっと考え事してた」




そう言うとパッと手を離した。
触れられた部分がとても熱い。心臓がすごく早く波打つ。


全然ダメじゃん私。