彼がため息つく前に
吸う息の音が聞こえたから
あたしはもう、
彼に何も言わせないほどの
気持ちがあふれ出ていた。

「ファルゴアから逃げて
 どこか遠い国で二人で暮らそう、
 あたしは、もう王女なんていやだ・・・
 セルヴァンと・・・
 一緒に居られなくなるんなら・・・
 もう・・・王女なんてやめたい!」
最初はポロリと落ちた言葉だった。
でもそれは、溜まっていたモノを
せき止めてた言葉で、
関が崩れたら
あとは洪水のように流れ出す。
「もともと、あたしは不向きだった。
 なんでも、
 おねぇちゃんの真似事だったよ。
 必死で頑張って来たけど、
 そこにセルヴァンが
 居なくなっちゃうんなら・・・・・
 ・・・もう無理だよ。」
浮き出した涙が声も揺らす。