別冊 当て馬ならし

あたしの知らないセルヴァンだった。
いつもの威勢のいい
元気で明るいセルヴァンじゃなかった。

職人として大人で・・・
仕事の出来る一人の男性として、
セルヴァンはそこにいた。

・・・・遠い・・・・
距離が、じゃなくて
・・・なんか・・・心が遠いよ・・・

あたしは、
セルヴァンと一緒に居れるって
はしゃいでただけ・・・

彼は・・・仕事をしてる・・・

仕事をしている彼は、
あたしとはまるで別の世界に
生きてるみたいだった・・・

それからは、あたしは公務に集中して
なるべくセルヴァンを見ないようにした。
みると自分の幼稚さが
辛いから。
仕事をしている彼が、
かっこいいと思ってもその後にくる
自分との意識の違いに切なくなるから・・・・