別冊 当て馬ならし

騎士たちの前では
すました顔のセルヴァンだが、
馬車にあたしが入る直前に
いつもの顔でニカっとした。
あたしもニカって返して、
楽しい旅は始まった
・・・はずだった・・・

ずっと一緒って思ってたのに・・・
考えてみたら
・・・護衛してもらってるからって・・・
話とかできる時間はほとんどなかった。

行きの道中は兵士の中に
セルヴァンはいて、あたしは馬車だ。
休憩時に会話はすれど、
既に他国仕様になっている
兵士たちに合わせて
セルヴァンもそうなっている。

気安く話しかけると、
「姫、お気をつけくださいませ」
などと返されて・・・
淋しい想いをすることになる。