と、赤くぼやけていた視界に
とつぜん灰色の影が落ちる
城壁にうるつ背の高いのっぽな影だった

「泣き虫か!」

いきなり投げつけられた
ぶっきらぼうな言葉
驚いて声の方を見上げる

そこには、花壇の淵の煉瓦に
仁王立ちしてあたしを見下ろす
男の子がいた。

金髪にちかいブラウンの髪は
夕日を浴びて赤く燃えるみたいだった。

「せるヴぁぇえええええええんん!」
名前を呼ぼうとしたら
鳴き声になってさらに大きく泣く
それにまけじと彼は

「名前呼ぶか、泣くかどっちだ!!!!」

そう怒鳴った。

大きな声に驚いてあたしは声を止める
「よし、何した」
そういってセルヴァンは煉瓦に腰を下ろす
さすがにこの隙間に一緒にしゃがめるほど
彼は小さくない。