別冊 当て馬ならし

そして迎えた翌日、
ハトナとタシーの手配で
急いで荷物をまとめ、
王も王妃もアル王子・レヒューラ
ハトナに稽古に付き合ってくれた
兵士さん達、
みんなに見送られて
私達は故郷へ向けて旅立った。

最後の別れ際、
王が優しく頭を撫でてくれた。

「次回こちらに来られるときは、
 娘として迎えたいと思いますよ」
それは、お父様とは違う
威厳と安心感を持ち、
いつか“お義父様”と呼べる日が来るのが
楽しみだった。
王妃も、
「ふふ、娘が出来るって
 なんて嬉しいのかしら」
そういって細めた瞳が
ラルとやっぱり重なって、
ついつい見惚れてしまう。

2人から暖かい言葉をもらって

私は馬車に乗る。

私のエスコートはラルだ・・・
彼は、私の手の甲に口づけして微笑んだ・・・

昨夜語り合ったから・・・
彼の瞳が何を言っているかわかる。

私も伝わるように想う

『待ってる』