別冊 当て馬ならし

「おい」
優しい声が私を現実に連れてくる
「わぁ?」
すこし、
将来の事を考えてぼーっとしてたらしい。
私って・・・
こんなに夢見がちな感じだったけ?
やっぱり、ラルといると
甘えているのかもしれないなぁ
そんな事を思っていたら
真剣な眼差しが私を捕える
「だから・・・お前の
 両親に挨拶に行くって意味」

-トクン
心臓が跳ねる。
「兄貴の事があるから、
 すぐには迎えにいけないけど・・・」
うわーどうしよう
・・・泣きそう・・・
嬉しくて・・・

「俺が、真剣だという事を、
 お前の両親にも伝えたい」
視界が潤んできた。
彼の瞳も何もかも
月明かりの輪郭もふやけていく
「だから、待っててくれるか?」

そんなの、一も二もない
私は大きく頷いた。
瞳からぽたぽたと涙が落ちたけど構わない
「うん!」
そういって私たちは
もう一度抱き合った。
キスしたかったけど・・・
二人していろいろ自制するために
・・・ただただ抱きあった。