別冊 当て馬ならし

「もし・・・
 ここでタガが外れたら・・・
 お前に優しくしてやれる自信が
 ・・・ない」
私を壊してしまいそうだって
それほど強く求めてくれてる

「壊れても・・・いい・・・」

私も強く求めるから
・・・いい・・・
そう思ったのに・・・
彼は私を引き離して
しっかり瞳を見つめた。

彼の瞳には、悲しみの色が浮いていた。

どうして・・・?
そんなすべてがおわりそうな目をするの?

「駄目だ・・・
 やっと手に入れたのに・・・」
泣きそうな彼の心は、
私が眠って起きなかった時の
不安を思い出して揺れていた。
あぁ・・・彼は必死に葛藤していた・・・
2度と私を失わないように
大切にしたいと思う気持ちと、
激しく求める欲望がせめぎ合っている。

私は、やっと彼の心をわかった。