別冊 当て馬ならし

「病み上がりだからな・・・
 無理はさせられない」
掠れた声が聞こえる。
荒い息を・・・
抑え込むように・・・
必死につぶやかれた言葉・・・

私は彼の背中に手を回して、
その見た目より広くがっしりした背中を
・・・撫でる
そして心を覗いた。
そこに渦巻く欲望は・・・
私が思っている以上の
熱さと強さを持っていた。
それが嬉しくて・・・
私に対する気遣いが
必死にその欲望を抑え込もうとしている。

「無理じゃないよ・・・」

離れたくないって想いと、
彼の欲望を叶えたいという想い、
私がそうなりたいという想いが
口に出た・・・
このまま一緒に居たい
・・・でも、もうすぐ・・・
会えなくなる・・・
多分、ピコランダの情勢が
安定するまでは会えないだろう・・・

・・・もっと・・・
もっと、ラルと一緒にいたい。
それができないなら、
確かな証拠を私の体に
刻みつけて欲しい・・・