授業中、放課後が待ち遠しくてしょうがなかった。
澤村のことばかり考えていた。
どんなメールがくるかな、とか。
もしかしたらあたしのこと好きなのかな、とか。
とにかく、早く放課後になってほしかった。
いつもより長く感じた授業すべてが終わり、親友の柚奈と帰るために2組にいった。
すると、2組の教室に澤村がいた。
少し微笑んで話す顔。
風で揺れる髪。
柚奈を呼びにきたのも忘れて、澤村を見つめていた。
すると、不意に澤村があたしの方を見た。
その瞬間目があってしまった。
恥ずかしさと嬉しさのようなものがぐちゃぐちゃになって、とっさに目を背けてしまった。
しばらくしてもう一度澤村の方を見ると、もうあたしのことなんか見てなくて、友達と話していた。
…最初からあたしのことなんて見てなかっただろうけど…
そのまま2組のドアにもたれかかって、柚奈を待つという口実を自分のなかで作って、澤村を見ていた。
「アヤ!!」
その声で、ボーっと澤村を見ていたあたしの脳内から、澤村が一気に吹き飛んだ。
「…柚、奈。」
「どした?ボーっとして」
「いや、なんでもない。それより掃除終わったの?」
「ああ、うん。アヤももう終わったっしょ?」
「うん」
「じゃあ帰ろうよ」
「うん。カバン取ってきなよ」
「うん、ちょい待ってて」
柚奈がカバンを取ってくるのを窓の外を見て待っていた。
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