yellow flower



「アヤ!!」

2時間目が終わった頃、やっと教室に戻ってきた玲が、あたしと有美のところにやってきた。

「玲!呼び出し長かったね」

「うん。あいつ話長えんだもん。て、そんな事はどうでもよくて!」

「ん?なに?」

「彰いるじゃん?」

また澤村の話題だ。
その名前を聞くだけで、なんだか胸が苦しくなった。

「澤村が、どうしたの?」

「彰がアヤのアド知りたいらしいんだ。教えてもいい?」


澤村が、


「え…」


あたしのアドレスを、


「…ダメ、かな?」


知りたい…?


「あ…いや…いい、よ…」

「まじ!?よかったーありがと!んじゃ教えとくね!」


そのまま玲は「彰ー!!」と大声で呼びながら廊下を走っていった。


「良かったね、アヤ」

隣で今の会話を聞いていた有美が、ニヤニヤしながら小突いてくる。

「やっぱ澤村、アヤのこと好きなんだね」

何も答えないあたしを気にもせず、有美は続けた。

「よかったね!」


「…うん」

あたしは真っ赤になりながら、頷いた。


.