ギミックガール

まずは天敵環涼海をリサーチし墓穴を掘るような発言、行動は責めて責めて責める。

といってもリサーチしたらしたでストーカー扱いされるのでお友達になろう。

帰りのホームルームまであと三十分。ここからどうやって友達になるか…。

思い立ったら行動すべし!

「環君!」

「おまっ、それ俺のだだから返せよ。汚い手で触んなよ。」

って誰かと喋ってるやないかーい!

喋ってる相手は確か橋本優斗君だったような。

環君は誰に対してもあんな言葉遣いなんだ。橋本君かわいそう。

汚い手でとは自分の手はそんなに綺麗なわけ…うっわっ…小指の側面シャー芯の黒で汚いし。

「橋本君、環君みたいな極悪人に構うことないからな!」

私のような被害者が出る前に助けなくては!

「俺本橋だけど…涼海が言う通りお前天然記念物級のバカだな。」

「優斗、ソイツ相手にするだけ無駄だから。俺しかソイツ扱えねぇの。」

橋本君改め本橋君まで毒舌だったなんて。

違う。これは本橋君の名前を間違えた自分が悪いんだ!時間よ戻れ!じゃなければ早く進んで記憶から削除してくれ。

「ごめんごめん。アレだ、最近流行ってるようで流行ってない名前をドヤ顔で言い当てたと思ったら当てれてないというネタだ。決して間違えた訳ではない。許せ本橋よ。僕はただ環君と少し話をしたかっただけだ。」

必死に取り繕うつもりで言った言葉が空回りしてつまらないギャグのオンパレード。おまけに上から目線の不快の極みのような謝罪文、環君と話すことが目的のバレバレの文章になってしまった。

「涼海、翻訳とコイツの相手を頼む。」

「あー、つまりコイツは俺と話したかった。そこで勝手に話に入ってきて優斗の苗字を間違えてつまらない言い訳でその場をしのごうとした。」

ギクリ。私の脳内の99%はこいつによって言われたようなものだ。

「間違ってはないけど、環君とはまた今度、三年後ぐらいに話したいかな。」

できることなら一生関わりたくないです。

「放課後駅前に来い。そしたら俺の貴重な自由時間を割いて話相手になってやる。」

はい。はい?行きませんよ?行く訳わけないでしょ。

だいたいこの後予定あるし。

「行かないから。」

環君に聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で呟いた。