ギミックガール

時進んでお昼寝日和な午後2時ごろ。

入学翌日から授業をする学校なんて無いわけで。

ホームルームしかない今日は話を聞いてなくても寝ていても注意はされるものの成績が下がることはまずない。

そんな素敵な時間があるにもかかわらず…

「なぁ、なぁ。」

席順は基本自由なのにわざわざ私の隣に陣取りその時間をつぶしに来る悪魔がひとり…。

「うるさい。黙れよ。」

このやりとりを朝からなんど繰り返したことだろうか。

授業が始まってまだ二十分。この時間だけで既に6回も「黙れ」という言葉が出た。

午前中より頻度がかなり早い…。

仕方がないので一日に一度くらいは言う事を聞いてやろう。

「なぁ、なぁ。」

「何?何か用でしょうか?」

答えを待って約三分が経った。

おかしい。反応してあげたのに話を続けるどころか窓の方を覗いてはあくびをするばかり。

突然何かを思い出したかのように私を見て

「何?俺の顔にでも見とれてんの?ブサ田君。」

ブサ、ブサ田!?

いや、待て。落ち着いて考えよう。

ブサ田。私は一歩引いて環君よりはブサイク。これは認めよう。

環君の顔に見とれる。私は女なのだから見とれていても仕方ない。見とれることなんて未来永劫無いけどね。

問題は環君に男と認識されているはずの私が環君に見とれているという自意識過剰なところ。

つまりこの人はホモ!

だとしたらこの返し方しかない!

「僕そっちの趣味はないので速やかにお引き取りください。」

ベストアンサー。グッジョブ自分。

「反応ショボ。」

反応のクオリティーなんて聞いてないし。今日の朝から何様なのコイツ。

ムカつく。いつか絶対言い負かしてごめんなさいのごの字も言えないようにしてやらねば。