「ねぇねぇ、眉書いてんの?お前眉いじったところで女か男か分かんねぇよな!」

デリカシーのないやつが居るとたいてい半日もせずに疲れる。

「お前じゃないです。澪田明です。環君。」

「今なんて?ストーカー?冗談もさっきの発言だけにしてくれよ。」

口元を手で抑えまるで新しい玩具を見つけたような目。

こいつはガキか!

「はいはい。僕の顔と発言にいちいち文句つける納豆のような環君こそ悪質なストーカーだと思います。」

暫くの沈黙。うつむく環君。

勝った!これは確実に勝ったぞ!顔だけじゃ男のように育てられた私に勝てるはずないだろ。

「おまっ…納豆……なっ…なっとうは流石にお前そのものだろ…」

下にうつむいたまま振り絞ったような声で言い、途中、ハハッ…腹いてぇ……という声が聞こえた。

ブチっと何かがキレる音と同時に抑えきれない怒りがこみ上げた。

「さっきから人の事バカにして何が楽しいんですか!僕の顔が男っぽくないのも分かります。自分の発言が明らかに墓穴を掘るような発言なことも分かってます。でも………でも僕はお前のような自己中な奴が嫌いなんだよ!分かったらさっさと失せろカス!」

と、鬼の形相で言ったと思ったのだが、表情と話の内容の幼稚さがあまりにミスマッチだったのか私に向けられたクラス内の白い目は先ほどとうって代わり今度は小声で話を始めた。

「なにそのセリフ寒っ…キモすぎお前。」

「…………えっと…」

脳内でGAME OVERの文字が点滅して消えた。

「でも、怒った時は男っぽくなって見れる顔になってた。褒めてやろう。」

褒め言葉とは到底思えない言葉。

本当にこの人、環涼海は自由で面倒な人だと感じた。

まったく、この先の学園生活お先真っ暗だなぁ…。