さよならと言えずに

月日が経った

さよならは突然で

涙が出なかった


「あなたが笑う場所と
あたしが笑う場所が
ちがったんだね」


そういうと

あなたは笑って

「でも幸せな時間を共有できたよ」

とまた大人の余裕を見せてくる


いつだってあたしは

あなたから見たらはるかに子供で

いつだってあたしは

あなたに安らぎを求めていた


「彼となら幸せに・・・」

言葉をいいかけた彼は泣いた

「またいつか出会えたら笑おうね」

彼の精一杯の言葉が

胸に突き刺さった


「最後ぐらいわがままいいな?
君はいつも我慢をしているんだから」

彼の優しい言葉が

あたしの心に突き刺さった

「またねなんていわないで
さよならっていって?」

あたしの言葉が受話器越しに

反転して聞こえる

「辛くなったらまた会おう。
僕は君の味方だから忘れないで」

ずるい

さよならなんていう気がないんじゃん


「今までありがとう、ごめんなさい」

受話器を切ろうとしたとき

「これからはたくさん笑って
たくさん泣いて
たくさんわがままを
君の愛する"彼"にみしていくんだよ?
それが僕の最後のお願い。
ありがとう、幸せにしてくれて。」


あたしと過ごした1年間

あなたは笑えていたのかな


あぁ
最後の最後に涙が溢れた

あたしは
愛をたくさんもらえていたんだ


期待に添えず
一緒にいれず
傷つけて
ごめんなさい


あたしはまた前を向くね


あなたが背中を押してくれたから・・・



ありがとう


さよなら