ー4月7日ー
中学校入学式

「何か制服だと大人っぽく見えるね!」
「そうだね!蘭もすごく似合ってる!」
中学校の校門で合った心友、中島蘭とこんな会話でワイワイする。何か蘭と居るとホッとする気がする。小学校の時から仲が良かったからかな?
そんなことを思っていると蘭が急に
「春といえば恋だよね~そういえば実花ってどんな人がタイプなの?」
「ふぇ!?」
蘭がそんなこと聞くなんて思ってなかったから変な声出しちゃった・・・。
「蘭、どうしたの?急に私の好きなタイプを聞くなんて。」
「いや、美香が好きになってきた人は知ってるけど、どんなタイプが好きなのかは知らなかったから、気になって。」
「ふ~ん。」
タイプかぁ~・・・歴代の私の好きな人は、可愛くて優しくて不思議ちゃんで野球好きと優等生で優しくて面白い人とかっこよくて優しくてサッカー少年。 考えても自分のタイプが浮かばないよー。
「う~ん分かんないよ。」
「え~っ分かんないの!?」
「蘭の好きなタイプは?」
「私?私は・・・優しくてかっこいい人。一緒に居て楽しい人がいいな。」
優しくてかっこいい人がタイプかぁ。よし、もう一回考えてみよう!・・・やっぱ分かんないや。
「とりあえず、クラス表貰いに行こうか。誰と同じクラスなんだろう?」
 
「ご入学おめでとうございます。」
そう言われて受け取ったクラス表。それを見ると・・・。
私は6組。蘭は5組・・・。
「実花、クラス離れちゃったね。」
「でも、隣だから近いよね!」
「同じクラスには誰が居るんだろう?」
一人一人の名前を見ていくと・・・そこには菊池永遠の文字が!永遠は私が今、絶賛片思い中の人。
「実花、良かったね!永遠と同じクラスじゃん!!」
「うん。よかったぁ~!」
また一緒のクラスだ!うわ、何か急にドキドキしてきた。
「実花、いいチャンスだよ。自分の好きなタイプを知れるかもよ。」
私の好きなタイプが知れるチャンス?
「どういうこと?」
「永遠のどんなところにキュンと来たかが分かれば、それが蘭のタイプってことだよ。」
キュンと来るところか・・・。全然考えてなかった。
「試してみるね。」

「1・2・3組は2階、4・5・6組は3階に上がって下さい。」
「実花、私たち3階だって。」
「うん、行こうか。」
何か小学校とは違う。階段の段が高くて何となく暗い。中学校って感じ。
「5組はここかな。6組はこの奥だね。」
「じゃあ、ばいばい蘭。」
6組か・・・。新しいクラス、新しい同級生、新しい先生、新しい環境。何もかもが新しくてドキドキ。でも少し不安もある。ちゃんと上手くこのクラスでやっていけるのかな?
「このクラスの担任になりました小池です。一年間よろしくお願いします。」
優しそうな男の先生だ。変に厳しそうな先生じゃなくて良かった・・・。
でも、私と永遠の席は離れちゃった・・・。まあ、松島と菊池だから仕方が無いんだけどね。
「てことで、明日からまた元気に登校してきて下さい。さようなら。」
「さよなら~。」
今日から中学生になったんだ・・・。そうだ!永遠に今年も宜しくぐらい言ってこよう。
「永遠!」
「ん?何。」
「今年もよろしくね。」
「去年仲良かったっけ?」
・・・え?仲いいと思ってたの私だけ??
「なんてな。今年も宜しく。」
永遠はニコッと言った。そのとたんキュンとした。私って笑顔に弱いのか!?
「じゃ、じゃあね。」
「おう。また明日。」
私、さっききゅんとしたよね?でも、笑顔がタイプとは言わないしな・・・。やっぱり分かんないや。そう焦らなくてもいつしか自分のタイプは分かるようになるよね。また明日意識してみようかな。