陸橋の階段をかけおり、塾のドアの前に立つ。


寒さでかじかむ手に力を入れてドアを引いた。



ドアの向こうからやってきた暖かい空気に包まれながら中に入った。




つきあたりにある階段を4階までかけ上がり、教室の後ろのドアの前まで来た。



さすがに遅刻をしているので前から入りにくく、そんな勇気も持ち合わせていない。




ふぅーっとひと息ついて、ゆっくりとドアを開けた。



テストはまだ始まってなくて、先生が諸注意をしている声が聞こえてくる。




入り口に立っていたわたしに気付いた先生は、“石野さんはそこね”と前から2番目の席を指差した。