もう辺りは真っ暗の帰り道、いつもとおなじように陸橋を上っている。

顔が見えなくても顔が赤くなっている愛南ちゃんとその反対にたぶん顔が青くなっているんじゃないかってくらい気分がのらない私と静かに愛南ちゃんの話を聞いている笑莉ちゃん。


隣にいる愛南ちゃんは「かっこよすぎ〜」って出原くんの話をしている。


「どこが好きなの?」

この話はあまりしたくないなって感じていた私の口はこんなことを発していた。


聞いても自分が虚しくなるだけなのに。


「おもしろくて優しいところかな〜」

と授業中の出来事を楽しそうに話してくれて。


愛南ちゃんは話したことあるんだ。
私も話さなきゃ。


ほら、やっぱり聞かないほうがよかったよ…
しゅんとなるだけだよ。


と聞きたいって思っている私と聞きたくないって思っている私が言い合っていた。