線路沿いを携帯を握りしめたまま歩いていく。
懐かしい。
いつかここを歩いて塾へ通っていた。
ここを歩くと出原くんに会えると楽しみという気持ちがより一層強まってくる。
野球部やハンドボール部のグラウンドに差し掛かったあたりで携帯が震えた。
画面に映った名前を見て早くなる鼓動が伝わってきた。
差し出し人は、出原くんだったから。
携帯を持つ手が震えている。
震える指に入るだけの力を入れてメールを開くボタンを押した。
お誘いのメール。
“いきなりだけど今からまた会えないかな?友達もいるけど……”
という内容だった。
その友達は野崎くんで驚いた。
お友達が野崎くんなら、せっかく誘ってもらったから行きたいな……
“ぜひ迷惑にならないんだったらいきたいな……”

