家に帰り自分の部屋に入った瞬間、ベッドにダイブした。


頭の中が彼のことで大半を占めていて、離れていってはくれなかった。


それどころか頬が緩むばかりで自分が怖くなってきた。


起き上がり鏡を見てみると何かに取り憑かれたんじゃないかってくらい口角がキュッと上がっていた。


そしてその顔を隠すようにまたベッドにダイブした。



いつの間に身長を抜かされたんだろうとか、出原くんって優しい人なんだとか。


わたしの思考回路は変わらないでいた。


そういえば、いつか塾の階段を降りていたとき、突然後ろから彼の声が聞こえきたっけ。


靴ひもほどけてるよ、って。


あのときはただただビックリして、あっ出原くんか、なんて思ってたら答える前に風のようにサーっと横を通りすぎていったんだっけ。


考えようと意識しなくても無意識に出原くんのことばかりを考えていた。