話してみたいなーなんて考えていたある日のこと。



ぼーっとしていた俺の耳に聞こえてきた好きな人の声。



「わたしの好きな人は──────────くん」



えっ。
うそだろ?
まじかよ?



俺の耳にはっきりと聞こえた名前。


“いではら”



もしかしたら違う人かもしれない。
世界中に“いではら”なんて何人もいるじゃないか。
俺はそう自分に言い聞かせた。


“いではら”という名前には心当たりがあったから。