そういうわけで、この日竜太郎は帰りが遅くなり、例の公園を差し掛かる頃には5時半をとうに過ぎていた。
まさか今日は父さんがそこにいることはないだろう、と何気に公園を見る。

だが、いた。
しかも誰かと立ち話をしている。

誰だ?まさか…

そう、三間坂という老人であった。

竜太郎はとっさに物陰に隠れ、二人の様子を窺う。
美登里とたくさん話しをしたことで、ウキウキモードだった気分はすっかり消え失せていた。

なぜならば、終始穏やかな表情の老人に比べ、源太郎の表情は極めて険しく、どこか緊迫したムードが漂っていたからである。