早朝5時30分に竜太郎は目を覚ます。
やはり横に里美がいない。

ベッドを抜け出し、足は無意識にリビングの方へ。
里美がいるのをまだ期待していたのだ。

しかし誰もいなかった。
あるのは昨日と変わらない離婚届。
竜太郎の口から思わず溜め息が漏れた。

ふと、テーブルの隅に目が止まる。
そこにあったのは、例の昭和52年製の10円玉。
昨夜見つけた10円玉を、竜太郎は何気にこのテーブルに置いたのだ。

それを手に取ると、竜太郎の想いは再び31年前へと飛んだ…