「は、初めまして」
竜太郎はたどたどしく挨拶する。

相変わらず老人は柔和な顔だ。
「ハハハッ、そう固くならなくともよい。それよりも君とこうして初めて会えたんじゃ。どれ、せっかくじゃから一つ占いでもしてあげよう」

「え、占い?」

「さよう」

「何をするんですか?」

「これを使うんじゃ」
そう言って老人は上着のポケットから“10円玉”を取り出し、竜太郎に手渡した。