「彼がもっと大人だったら、それもいいかもしれないね。
でも、ヒロくんはまだまだ子供っぽいところがあったから、
言わないほうがいいよ。

せっかくの彼の決心が、にぶるかもしれないし」

「そう・・・じゃあ、言わないでおくわね」

夏海はいろいろ悩んだ末に、これまで自分と関わってくれたことへの
感謝と、これからも明るく前向きに生きていく決心、
この二つを自分なりの言葉で伝えることにした。

バスが停まった。いつも通り、停留所に大翔が立っている。

「行ってきます」

夏海はアルと運転手に会釈して降りた。
反対側の窓から”お目付け役”のヒミコが飛び立ち、バスが発車した。