「この薬はもういりません。お返ししておきます。
私、亡くなった主人に逢うのは二回でやめちゃったから」

夢の中で夫と二回目に逢ったとき、彼女は夫から過去の浮気を告白され、
ケンカになった。
それきり、夫に逢いたいという依頼はない。

「いいのですか?またお気持ちが変わって、
ご主人に逢いたくなる時が来るかもしれませんよ」

ないない、と夫人は大きく手を振って、アルのほうへビンを押しやった。

「どうせもうじき、嫌でもあちらで再会するんですもの」

「わかりました。では一旦、お預かりしておきますが、
もしまたご入り用になったら、いつでもおっしゃってください。
せっかく、あと一回チャンスがあるのですから」

アルはビンを引き取った。