土曜の夜。

アルからメールで連絡を受けた夏海は、ベッドに入る前に再び
青いカプセルを飲み、深い眠りに落ちた。

体の揺れを感じて目をあけると、見覚えのあるバスに乗っていた。
振り返ると、前回と同じように、すぐ後ろの席にアルとヒミコがいる。

「今回は大丈夫ですね?」

「はい、黒いバスには絶対、乗りません」

アルの問いかけに、夏海はきっぱりと答えた。

「その言葉を信じましょう。
ですが念のために、お目付け役としてヒミコを残していきます。
お二人の邪魔はさせませんので」

まもなく海の家が見えた。やはり前回と同じように大翔が手を振っている。

「できれば、あなたが大翔君を、黒いバスに乗るよう
説得してほしいのです。このままでは、
彼の魂はいつまでたっても、この海岸をさまようことになる」

「きいてくれるかどうか、わかりませんが・・・やってみます」

大翔を説得できる自信はなかったが、もちろん夏海も
彼の魂が安らかに眠ってくれることを願っている。