「だから夏海のことも、彼はきっと悪いようにはしないよ。
まあ、キスは暴走したかもしれないけど、考えようによっちゃ、
素敵な罰かもしれないね」

きゃははーと笑って、菜々子は、
すっかり冷めてしまった残りのパスタにとりかかった。

ふと夏海は窓の外を見た。植え込みの枝が大きく揺れたような気がしたのだ。

――カラスでもいたのかしら。

彼女は深く考えず、学食のランチセットを、久しぶりに完食した。


              *


アルの部屋の窓に、バサバサとヒミコが舞い降りた。

「どうだった、彼女の様子は?」