逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

夏海と菜々子は、それぞれ止まっていた箸とフォークを動かし、
食事を再開した。

しばらくの間、二人とも食べることに専念していたが、
ふと菜々子が口を開いた。

「あのさ、これ、絶対に秘密の話なんだけど」

口元に人差し指をあてる親友のしぐさを見て、夏海は
篠塚夫人の話をした時のセイを思い出した。
自分も含めて、みんな「秘密の話」と言いながら秘密をもらす。

「昔、あたしを亡くなった母に逢わせる代償として、
おばあちゃんはアルさんに命をさしだそうとしたんだ」

「えっ」

「『高額な報酬は払えない。自分にとって一番大切なものは
この孫だけど、孫の命をあげるわけにはいかない。
だから年老いた自分の命でよければ、これで払わせてください』って」

「・・・」

「でもアルさんは『母親を亡くしたばかりの子供が、唯一の頼りである
お祖母さんまで亡くしては、とても生きていけないでしょう』
と言って受け取らなかったの」

再び夏海の箸が止まる。