翌日。

学食でランチをとりながら、夏海は菜々子に一部始終を話した。
学校へ来る用はなかったのだが、とにかく昨日のことを聞いてほしくて、
珍しく夏海のほうから親友を呼び出したのだ。

アルに導かれて夢の中で大翔に逢えたこと、大翔と一緒に黒いバスに
乗ろうとして叱られたこと、罰として唇を奪われたこと。

ポモドーロを食べながら耳を傾けていた菜々子は、途中から
パスタが巻きついたフォークを皿の上に置き、大きく目を見開いて
親友の話に聞き入った。

「そっか、ヒロ君と一緒に死のうとしちゃったか・・・
そりゃ、アルさんも怒るよね」

「うん・・・」

「夏海はネンネだものね。

あたしは両親が離婚して、あたしを引き取ってくれた母が
早く亡くした寂しさもあって、高校の時からバイトしてたでしょ?
だからバイト先で、けっこう男の人と知り合う機会もあったけど、
夏海はヒロくんが初めてのカレだったから・・・。

やっぱり悲しみが相当深かったんだね」

やっと菜々子は伸びかけたパスタを口元に運んだ。