スキだらけだったアルは激痛に声も上げられず、床に崩れ落ちた。
動揺したヒミコが羽をばたつかせる。

「わ、わたしだって、チカンの撃退法ぐらい知ってますっ」

せいいっぱいの言葉を投げつけて、夏海はドアを開けて飛び出した。

バタバタと足音が遠のいて、ガチャンと玄関のドアが閉まる音。
すぐにセイが追いかけて、もう一度ドアの閉まる音がした。

「だ・・・だれが・・・」

くの字になって横たわったまま、アルはまだ動けない。

「・・・だれが、チカンやねん・・・」

「チョーシに乗るからよ」

ヒミコが冷やかな目で、止まり木から見下ろしていた。